おはようございます。議席14番、渡辺裕です。
今回は大きく分けて3点について質問をさせて頂きます。
1、 打ち水を通じた地域交流の活性化
2、 学校施設の安全性の点検
3、 人事制度の見直しと外部評価制度導入の検討
<人事制度の見直しと外部評価制度導入の検討>
前回も少し言及しました経常収支比率をまず見ていきたいと思います。(表1)
平成9年度 102.8%
平成10年度 106.0%
平成11年度 101.3%
平成12年度 101.1%
平成13年度 101.5%
平成14年度 103.4%
平成15年度 104.3%
平成16年度 104.3%
平成17年度 105.3%
平成18年度 102.5%
ここ10年で見ても常に経常収支比率は100%を超えています。
つまり固定費だけで赤字が出ている状態です。
家計に例えると毎月もらう給料より、家賃や水道光熱費、電話代の基本料金の方が高くなっている状態です。
これに加え食費や電気の使用料、電話の通話料などの変動的な経費がかかってくるので赤字幅はますます大きくなっていくという状態です。
ですからまずこの経常収支比率を100%未満にするのが財政を再建するうえでの絶対条件です。
そこで経常収支比率とは何なのかというものをあらためて見ていきます。
経常収支比率 = 経常経費 / 経常一般財源
経常一般財源とは、経常的な収入のうち、地方税、地方交付税など使途が特定されないものです。
そこでこの分母となる経常一般財源の推移を見ていきます。(表2)
平成9年度 10,617,716千円
平成10年度 11,730,213千円
平成11年度 11,262,612千円
平成12年度 11,357,985千円
平成13年度 11,580,146千円
平成14年度 11,454,144千円
平成15年度 11,324,293千円
平成16年度 11,291,230千円
平成17年度 11,009,189千円
平成18年度 10,923,433千円
次に前年との増減額を見ます。
平成9年度 -
平成10年度 112,497千円
平成11年度 532,399千円
平成12年度 95,373千円
平成13年度 222,161千円
平成14年度 -126,002千円
平成15年度 -129,851千円
平成16年度 -33,063千円
平成17年度 -282,041千円
平成18年度 -85,756千円
次に前年との増減率を見ます。
平成9年度 -
平成10年度 1.06%
平成11年度 4.96%
平成12年度 0.85%
平成13年度 1.96%
平成14年度 -1.09%
平成15年度 -1.13%
平成16年度 -0.29%
平成17年度 -2.50%
平成18年度 -0.78%
分母が約100億円で年間1%減少しているので現状の経常収支比率を維持するためだけでも分子も1%すなわち1億円を削減しなければならないでしょう。
今見てきたように過去の実績から見て分母の増加が見込まれない以上経常収支比率の改善には分子の圧縮が絶対条件となります。
例えば、経常収支比率を5年間で現在の102%から97%に改善させるにはどうしたらいいのかを考えます。
分母の経常一般財源が年間1%ずつ減少しているので現在の100億円から5年間で5億円減少すると予想されるので、5年後の経常一般財源は約95億円になります。
この95億円の97%が分子となるから5年後の経常経費は92.15億円にする必要があります。
だから分子は11,292,848千円-9,215,000千円=1,977,848千円
つまり5年間で約20億円削減しなければならない。
1年間では経常経費を4億円ずつ削減していく必要があるということになります。
次に分子である経常経費の構成区分を分析していきます。(表1)
分子の科目は次のように分類されています。
人件費、物件費、維持補修費、扶助費、補助費等、公債費、繰出金
繰出金についても大きな問題があるとは思いますが今回は深く追求せず人件費を中心に見ていきます。
指定管理者制度等をはじめとする民間委託が以前に比べて積極的に利用されているので見た目の人件費は減少することになります。
しかし民間委託等に含まれる人件費が物件費に振り返られていると考えられるのでここでは人件費と物件費を合わせて考察していきます。
人件費物件費
平成9年度 58.9%
平成10年度 60.9%
平成11年度 56.3%
平成12年度 56.4%
平成13年度 56.3%
平成14年度 56.7%
平成15年度 55.3%
平成16年度 55.3%
平成17年度 54.9%
平成18年度 49.1%
公債費
平成9年度 15.6%
平成10年度 16.9%
平成11年度 16.7%
平成12年度 16.7%
平成13年度 16.0%
平成14年度 16.7%
平成15年度 16.6%
平成16年度 17.2%
平成17年度 17.8%
平成18年度 18.1%
この人件費物件費と公債費で約70%を構成していることになります。
ですからこの2つの削減こそが財政健全化につながることは間違いありません。
今回はこの人件費に関する人事問題について私なりの視点で分析していきたいと思います。
職員数と役職数の分析
まず北河内7市の一般行政職の職員数を見ていきます。(表3)
職員数
四條畷 205人
寝屋川 905人
大 東 364人
交 野 269人
枚 方 1,368人
門 真 489人
守 口 564人
次に一般行政職の職員数のうち課長代理以上の役職数を見てみます。
役職数(課長代理以上)
四條畷 64人
寝屋川 161人
大 東 92人
交 野 102人
枚 方 430人
門 真 140人
守 口 150人
北河内の他市と比べ四條畷は人口が少ないので職員数も当然少なくなっております。
ただ、ここで注目したいのは課長代理級以上の役職数の比率です。
そこで一般行政職の職員に占める課長代理級以上の役職の割合を見てみます。(表4)
役職率(課長代理以上)
四條畷 31%
寝屋川 18%
大 東 26%
交 野 38%
枚 方 32%
門 真 29%
守 口 26%
四條畷の役職率は行革の進んでいる寝屋川市の倍近い31%となっております。
すなわち3人に1人は役職という状態です。
特に比率の高い部署を見てみると議会事務局が4人に3人で75%、行政委員会事務局、人権政策推進課、総務課がそれぞれ5人に2人で40%となっております。(表5)
また31%という比率を年齢構成表にあてはめて考えると年齢53歳以上で課長代理級、年齢57歳以上で部長級ということになります。(表6)
平成19年3月に示された行財政改革プランでは平成18年4月現在での全職員数486人を平成24年4月には383人まで削減するとなっております。
103人、率でいうと21%の削減ということになります。
仮に10年後もこの21%削減した職員数だとしますと、一般行政職の職員数は現状の205人の79%になるので、
205人 × 79% = 162人
となります。
162人のうち31%が課長代理級だと考えると
162人 × 31% = 50人
50人が課長代理級とすると、現在の37歳以上、10年後の47歳以上は全て課長代理級となります。
次にポストが仮に現在の64のままだと、現在の34歳、10年後の44歳は全て課長級となります。
同様に162人のうち10%が部長級だと考えると
162人 × 10% = 16人
16人が部長級だとすると、現在の44歳以上、10年後の54歳以上は全て部長級となります。
ポストが現在の21のままだと、現在の43歳以上、10年後の53歳以上は全て部長級となります。
このように、役職の比率が高く、また、現在の40代の職員の方が少ないという現状を考えると早い段階でポストの整理をしておかないと若くして誰でも役職につけるという状態になってしまいます。
誰もが年齢が一定になれば役職につけるというのであれば競争原理が働かないし人件費の増大にもつながります。
ですから早い段階でポストや課の統廃合等を進めておく必要があります。
以上のことから、現在3人に1人が課長代理以上という状況をどうお考えなのかについて、
また、現在のポストを今後どのように整理していくのかという点について総務部長にお尋ねします。
次に市長が就任してからの職員数を削減していますのでこの分析を行います。
現状の財政状況を考えると人件費の削減はやむを得ませんが、ただやみくもに減らすだけでは仕事が特定の課、特定の職員に偏ってしまっている可能性があります。
私の主観として、夜いつも遅くなっている人事課、学校教育課、総務課の一部にこの偏った削減による負荷が生じているのではないかと推測します。
次に客観的な数字で見ていきます。
一般行政職全体では平成15年4月から平成18年4月にかけて一般行政職の職員数は239人から203人へと15%減少しております。(表7)
それに対して人事課は8人から6人へと25%減少、
学校教育課の事務職に関しては3人から2人へと33%減少しております。
以上のように主観的にも客観的にも特定の課、特定の職員に仕事が偏っているものと判断できます。
職員数を減らすのであれば仕事量を見ながら削減した分を臨時職員等にフォローしてもらうなり適切な対応が必要です。
また、ただ単純に職員数を減らせば良いという問題でもありません。
「トータルで何人削減」というのではいつまでたっても効率の良い人事体制にはなりません。
業務の平準化が必要です。
そこでその手段として事務事業評価を再考する必要があります。
現状の事務事業評価は各課の仕事量を1としてそれをその課の職員が0.○○という形で按分しているだけです。
これでは市役所トータルでの分析ができないし、どの課に仕事が偏っていて、どの課に余裕があるのかということが分かりません。
ですから事務事業評価を自分達でやっている限りは何の意味もありません。
また、自分が行う仕事のチェックでは甘い認識や判断が行われる可能性が高いと思われます。
市のホームページでも、事務事業評価とは、
「市民の視点で事業の見直し(評価)を行い、改善しようとするもの」
と書いております。
自分の課で評価をしているのであれば「市民の視点」とはいえません。
しかも、横断的な評価ができないため市全体での効率化を図ることが出来ません。
客観的に評価するのであれば例えばタイムカードをもとにどこの課に仕事が偏っているのかを分析したり、さいたま市等でもしているように外部評価を導入するべきだと思います。
このような事務事業評価の見直しの予定はないのかを総務部長にお尋ねします。
私が会社の経営を分析する上で重視している指標があります。
それはROA(総資産利益率)という指標です。
ROA=利益 / 総資産
つまり総資産に占める利益の割合です。
この指標が高ければ高いほど効率の良い経営をしているということになります。
例えば、100円の総資産で10円の利益をあげるより、50円の総資産で10円の利益をあげる方が効率の良い経営ができているということです。
では次にこの率を上げるにはどうしたらいいのかを考えます。
簡単な式なので難しく考える必要はありません。
単純に、①利益をあげる か ②総資産を小さくする
この2つで法人の経営の効率化を図ることが可能です。
なぜこの指標を紹介したかというと、この指標が四條畷という自治体の経営を考える上でいい参考になるのではないかと思ったからです。
「利益」を「市民満足」と読み換えて考えてみます。
四條畷の総資産は北河内7市においてもかなり小さいと思われます。
すなわち、規模は小さい自治体ではありますが、今回提案した人事制度の見直し等の知恵や工夫によって市民満足を高めることが出来れば、客観的にも効率の良い経営と言えるのです。
分母が小さいぶん努力によってROAは高まりやすいと言えます。
財政が悪いと言われていますが人口5万規模の自治体は全国でも市町村で1,300以上、市だけでも300以上あります。
規模が小さいから財政が悪いというのであれば、まずはこれらの自治体のなかでトップクラスの効率の良い自治体を目指してはどうでしょうか。
そうすれば必然と全国でもトップクラスの効率の良い自治体になるといえると思います。
今ある少ない資産、人材をフル活用することで市民満足を高め、効率のよい自治体を目指すべきです。
以上です。
なお再質問は自席より行わせて頂きます。